ヒポクラテスのおひとり言

コロナについての予想

オミクロンBA.5株の大流行! どうする日本!

オミクロンBA.5株が大流行してますので、久々にブログを更新しました。

 

オミクロンBA.5株についてわかっていること

BA.5株はオミクロンBA.2株から生まれたと考えられる亜種です。この5月まで流行していたオミクロンBA.1とBA.2に比べて、細胞に結合する部位に新たな2カ所の変異ができています。また、他の1カ所で元に戻る変異もあります。BA.1やBA.2より感染力が強くなったBA.5がBA.1やBA.2にとって代わりつつあります。

 

BA.5はいままでのワクチンが、BA.1よりさらに効きにくい(BA.1より1/3~1/4効果が低下)。因みにBA.1でも最初の株にくらべると1/30~1/40と大きく落ちていました。すなわち、BA.5は武漢で見つけられた最初の新型コロナの1/100しかワクチンの効果がありません。そのため、せいぜい1-2カ月しか感染防御力が持続しないのです。

 

BA.5は潜伏期がBA.1 よりさらに短いとされています。

BA.5の毒力がBA.1より増したという証拠は出ていません。おそらくほぼ同等の毒力と考えられています。一般に流行が継続する場合、ウイルスに変異が蓄積して感染力は強くなるものの、毒力は低下していくことが多いとされます(ウイルスの弱毒化説)。

 

アルファ株やデルタ株に感染した人の70%以上がBA.5に感染する可能性があります。

オミクロンBA.1に感染した人の20%強がBA.5に感染する可能性があります。

このデータは、まだ確認中であるため今後変わる可能性もあります。

 

 

各国の状況から見た日本でのBA.5流行の行方

 

ポルトガル南アフリカなどのコロナの感染率が高い国(40%を超えていた国)ではBA.5による感染のピークはBA.1や2より明らかに小さく済みました。また、死者もあまり増えませんでした

シンガポール、カナダなどの感染率が低い国(30%以下)はBA.5によって、死者が増え始めているようです(シンガポールでは感染者もはっきり増えてきています。

日本も、もともとの感染率が低く、各国の中で群を抜いてBA.5による感染が増えています(

また、東京都で80歳以上の高齢感染者の比率が上昇しており(7月では23%)、重症者、死亡者も増加することが予想されます

 

ワクチンによるBA.5感染の影響

ほとんどの国がワクチン2回目を80%前後済ませています。ただし、南アフリカは32%と接種率が低いです。

ワクチンによって、BA.5のピークが左右されているとは言えないと思われます。

南アフリカではワクチン接種率が低くてもBA.5によるピークはBA.1より小さく、死者もあまり増えませんでした。そのかわり、もともとの感染率が45%に達していました。

 

小まとめ

今まで(2022年5月まで)日本では感染率が低かったために、感染率の高かった国に比べてBA.5による感染者が著増し、今後死亡者が目に見えて増加する可能性があります

 

ポルトガルの例を見ると高齢者、特に80歳以上に4回目の予防接種をすることは、急場の死者の増加を抑える有効な手段と考えます。

 

南アフリカではワクチン接種率が低いものの感染率が高かったために、BA.5のピークは低く抑えられた可能性があります。

 

多くの国でBA.5の流行は、自然に感染のピークを迎えその後減少傾向にあるので、日本でも、感染が蔓延した後に自然に減少に向かうと思われます。

 

 

日本でのBA.5対策

日本でBA.5の感染が急拡大しています。すでに救急搬送に時間がかかる事態となり、医療ひっ迫がはじまっています

 

重症者の急増を起さないよう、高齢者や重い基礎疾患(腎不全、糖尿病、高度な肥満、癌など)を持つ方は、極力不急の外出を控え、人ごみを避けて自身の身を守ることが大事と思います。

また、重い基礎疾患がある人や80歳以上の高齢者は4回目のワクチンを接種して、この一大事を一瞬でも凌ぐことは重要でしょう。

 

健常者は今まで通り基本的な感染防止策を行いながら、高齢の人が居合わせるような役場や電車等の公共の場所、スーパーなどの準公共の場所では不要な会話を慎むべきと思います。

 

感染防止策に進歩は望めないので、BA.5の流行に新たな取り組みが必要かもしれません。

発熱した人や院内、施設内のコロナ感染者に必要以上の労力を使う事なく医療を混乱させないような一定の妥協が必要かもしれません。そのため院内感染が起こり、期待していない事態が発生することは、ある程度許容されるべきかもしれません。

大事なことは、コロナ感染者の増加のために通常の医療が立ち往生することを避けるという事と思います。例えば医療ひっ迫のため搬送や診断が遅れると、盲腸(虫垂炎)でも重症化する可能性はあります。