ヒポクラテスのおひとり言

コロナについての予想

どうか次世代コロナワクチンをつくって!  ワクチンの改良をお願いします、ヌクレオカプシドのワクチンです!

次世代コロナワクチンをつくってください!!

人に接種されたワクチンは、抗体というウイルスに対する飛び道具と、ウイルスと肉弾戦を展開する細胞(細胞性免疫)をつくりだします。

現行のコロナワクチンは、接種によってできる抗体がコロナウイルスの表面にあるスパイクに結合して、ウイルスが人の細胞に侵入するのを防ぎます。この、スパイクに対する中和抗体は確実に感染を防ぐことが期待できます。

ウイルスのスパイクは頭の髪の毛にたとえることもできます。コロナウイルスは変化するのが上手で、マイナーチェンジして髪型を変えます。この髪型の変化に対応できないと感染を許してしまい、さらには重症化してしまう(飛び道具も役に立たず、肉弾戦も失敗)ことになります。ワクチンを設計する時に髪型に対応するのも重要ですが、髪型は変化するので、別の方針が求められると思います。

 

図 新型コロナウイルスのスパイクとヌクレオカプシド

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この別の方針についての提案を2020年の5月に何回か政府関連の方々にメールでお願いしたことがあります。残念ながら十分にアピールできなかったようです(涙)。なので、今回は頑張りたいと思います。

ウイルスの中にはクレオカプシド(nucleocapsid)というタンパク質があります。これをワクチンのターゲットに加えれば、より強力で安定な(髪型の変化を問題としない)肉弾戦をする細胞をつくりだすことが出来ます。この肉弾戦をする細胞は極初期の感染を許すかもしれませんが(ウイルスの表面には作用しないため)、感染した細胞を効果的に取り除いて感染の拡大を確実に阻止できるでしょう。結果、感染は早期に終了し、無症状か軽症に止めることができるはずです。事実、新型コロナウイルス感染の重症化を防ぐのに、肉弾戦をする細胞が重要なことが著名な科学誌で発表されています。

現行のスパイクに対するワクチンでも肉弾戦をする細胞はできているはずですが、髪型を変える前のウイルスに対して設計されたものなので、効きが甘くなっていると考えられます。

そもそも、現行のワクチンは、ウイルスに結合してウイルスを無力化する飛び道具(中和抗体)の産生に特化しています。飛び道具をつくる細胞と肉弾戦をする細胞は情報を交換してネットワークを形成しますが、現行のコロナのワクチンで、持続的で強力な肉弾戦をする細胞ができるのか定かではありません。

 

クレオカプシドのワクチンなら、新型コロナの変異株にもずっと有効

今回の新型コロナウイルスは約20年前に中国、東南アジア、カナダ等で流行したSARS(サーズ)ウイルスの子孫と考えられます。ヌクレオカプシドはサーズウイルスと新型コロナウイルスでとてもよく似ています。ヌクレオカプシドについて、サーズに感染していた人の肉弾戦を担当する細胞は新型コロナウイルスにもよく反応すると報告されています。これを利用しない手はないと思います。肉弾戦をする細胞がよく反応するクレオカプシドのほとんどの部分に、デルタでもオミクロン(11月26日に名付けられた新手の変異株)でも変化はおこっていません

サーズが新型コロナウイルスという子孫を作り出したように、新型コロナウイルスが髪型(ウイルス表面のスパイクのたとえ)をフルモデルチェンジすれば、スパイクに対する現行のワクチンは全く無力となります。しかし、クレオカプシドはほとんど変化しないので、それを利用したワクチンは引き続き有効です。まさに、新たなコロナの変異株、オミクロンはこれに当たるかもしれません。また、20年前にサーズにかかった人の肉弾戦を担当する細胞が今も新型コロナのヌクレオカプシドに反応するという事から、クレオカプシドのワクチンは末永く有効と考えられます。次世代ワクチンとして理想的と考えます。

 

オミクロンとは何者?

11月26日にオミクロンと名付けられた変異株(正式にはB.1.1.529)は、ウイルスのスパイクの重要な部分(人の細胞に結合する部分で、RBDと呼ばれています)に、30カ所もの変異があります(デルタ株では2個)。また、南アフリカで急速にコロナの再流行がおこっており、そのほとんどがオミクロンと言われています。現状では、確かな情報はここまでです。オミクロンで重症化しやすいかどうかも不明です。

新型コロナウイルスはオミクロン以前の株でも感染の急拡大を起してきました。オミクロンがデルタを追いやってしまうほど感染力が強いかどうか、明らかな証拠がまだありません。オミクロンのスパイクには、とてもたくさんの変異があり、髪型がフルモデルチェンジされている可能性があります。そのため、ワクチンによる抗体が効かないのではと恐れられていますが、今のところ不明です。

オミクロンについての突っ込んだお話は、後日させてください。

 

デルタの後に続くのは、どんなコロナ?

新型コロナウイルスの髪(スパイク)は人の細胞の表面にあるACE2に結合します。ACE2は帽子にたとえられます。コロナの髪型の変化の中には、武漢で初めて報告された株より、帽子(ACE2のたとえ)によりフィットする髪型がありました。それらはアルファやデルタにあたります。

コロナの髪型のバリエーションはまだまだあって、今後出現する変異株はデルタよりもっと帽子にはまりやすい髪型をしていることはあり得ます。この場合、感染力は増強します。仮にオミクロンの感染力がデルタ株より強く、髪型が斬新すぎて(変異が多いため)現行のワクチンが効かなければ、確かに恐ろしいコロナが誕生したことになります。

 

一方で、帽子にピッタリはまる髪型は限られているから、武漢で最初に見つかったコロナの髪型より、さらにピッタリ帽子にはまる髪型はデルタを最後にもはや起こる確率がよほど低くなっていることもあり得ます。この場合、今後出現する変異株の感染力はデルタより落ちることになります。 以前、コロナ変異株のミューはアメリカに侵入しましたが、デルタに押されて広がりませんでした。

ただし、今後出現する変異株が、感染力の強いデルタに競り負けて流行を作れない場合でも、デルタがワクチンによる抗体で排除されれば、一気に広がる可能性があります。

仮にオミクロンの感染力が弱い場合でも、現在のワクチンが効かなければ、ワクチンが行きわたった場所(デルタ株がほぼ排除された場所)で危険な存在になる可能性があります。日本はその候補地かもしれません。

オミクロンの変異は数が多く特色があります。それらの変異には何か理由があったと考えたいです。オミクロンの感染力はデルタよりは弱く(それでも相当な感染力を維持している)、現行のワクチンはより効きにくいと予想しますが、今後のデータで変わるかもしれません。

 

新たな変異株の感染力によらず、現在のワクチンが有効な場合もあり得ます。そのケースなら、心配ないんじゃない? でいいのかもしれませんが、現行のワクチンの効果は約半年ですので、毎年2回の予防接種を延々と続けるという事になりそうです。

 

 

クレオカプシドのワクチンで、新型コロナの変異株を一網打尽に

オミクロンに限らず、髪型をフルモデルチェンジしたコロナウイルスは、今も流行をつくろうと日夜変異を試行錯誤していることでしょう。これらの新型コロナの子孫がどんな髪型をしてようと、ヌクレオカプシドのワクチンで一網打尽にできると考えます。ヌクレオカプシドの変異は少なく、オミクロン株でも4カ所しかありません

クレオカプシドのワクチンは、次世代のワクチンとしてコロナにとどめを刺す強力な武器になると思います。

 

急所を狙ってください!

クレオカプシドのなかでも、肉弾戦をする細胞が取っ組みやすい部分(アミノ酸配列)が報告されています。

クレオカプシドの101-120  MKDLSPRWYFYYLGTGPEAG

クレオカプシドの321-340 GMEVTPSGTWLTYTGAIKLD

出展 Bert NL, Nature 584, 457-462 (2020)

この部分をワクチンに利用すると、肉弾戦をする細胞は新型コロナウイルスに力強く取っ組み合いができるはずです。もちろんこの部分に、デルタでもオミクロンでも変異は全くありません(アルファにもラムダにもミューにも変異はありません)。

ワクチン作成については、ヌクレオカプシドのこの部位をRNAワクチンに組み込むのが手早いと考えます。

もっとも、ヌクレオカプシド全体を大腸菌等で組み換えタンパク質として作成し、タンパク質ワクチンとして利用するのも有効と思います(より大きなタンパク質をワクチンとして利用すると、より安定で強い免疫ができることがあります)。ヌクレオカプシドはウイルスの内部に存在するため、ADE(抗体依存性感染増強)は起こりません。抗体依存性感染増強とは、ワクチン等で生み出された抗体がウイルスに結合しても、感染を阻止する力がないために、返って感染が広がってしまうことです。

 

オミクロンと、さらに生み出されるであろう変異株に対して

オミクロンに対して、新たなスパイクに対応したワクチンが、迅速に用意されるとの発表がありますが、幾種類ものワクチンを年に何回も打つことになるのでしょうか?この調子で種類が増えれば、回数はますます増えることになります。

クレオカプシドのワクチンで、新型コロナの変異株を一網打尽にすることがより効果的でしょう。ぜひぜひ、この世界のどこか片隅から次世代ワクチンが彗星のように現れてほしいです。

 

どうかヌクレオカプシドの次世代ワクチンをつくって! ワクチンの改良をお願いします。