ヒポクラテスのおひとり言

コロナについての予想

3度目のコロナワクチン接種で第六波を回避!  でその後は?

3度目のコロナワクチン接種で第六波を回避! でその後は?

今回はこの12月からはじまると発表された、3度目のワクチン接種についてお話しさせてください。

 

なぜ3度目のワクチン接種?

3度目のワクチン接種がなければ、第六波は確実に日本を襲うでしょう(10月27日のブログ 第六波は起こらない? をみてください)。

1年に3回接種する予防注射は、他にないわけではありません。4種混合ワクチンは、1歳になるまでに3回接種します。さらにもう1回接種することによって、何十年も有効となり、病気を防ぐことができます。

残念なことに、現行のコロナのワクチンは、約半年しか感染を防御する効果がありません。重症化はより長期に防ぐとされていますが、ワクチンを2回接種していても重症化するケースは決して少なくはありません。

2回ワクチン接種後の重症化をイスラエルと日本でのコロナ死亡率より考えてみます。

 

イスラエル

~6/23(デルタ株流行前)     死亡率0.77%     

6/24~11/1(デルタ株流行時)   死亡率0.35%

 

日本

~7/8  (デルタ株流行前)        死亡率1.8%

7/9~11/1(デルタ株流行時)   死亡率0.38

 

まず、イスラエルでは2回目ワクチンの効果が大きく減少した時にデルタ株が侵入しましたが、日本では年配の方々の2回目のワクチン接種が済んで間もない時にデルタ株の侵入がありました。ワクチンが効き始めの日本では、ワクチンの効果が薄れたイスラエルに比較してデルタ株流行時の死亡率がより抑えられたと考えられます。イスラエルのデルタ株流行は3度目のワクチン接種にて抑えられたので、もし3度目のワクチンがなければ、死亡率はもっと高くなったと推定されます。

イスラエルのデータからは、今後日本でワクチンの効果が大きく減った時に、デルタ株流行前の半分以上の死亡率が想定されます。2度のワクチンの効果が切れて、コロナが再流行するのは日本では来年の春先と考えられます(10月27日のブログ 第六波は起こらない? を参考にしてください)。3度目のワクチンの接種がなければ0.9%以上の死亡率となりえます。

 

3度目のワクチンでは終わらないでしょう

コロナワクチン、打つの大したことなかったしー。 な方々も多数いらっしゃると思います。高い熱が出て苦しまれた方も少なくないと思います。

3度目のワクチン接種で、減りつつあったコロナに対する抗体の量が再上昇するので、当然感染を防ぐ効果が復活します。春先の第六波を小さくする(あるいはなくする)ための唯一の切り札と考えられます。ただし、3度目の接種後もやはり抗体の量は減少していくと考えられます。3度目のワクチンでは、正直、3度では終わらないと思われます。そしたら、一体何回打てばいいのかな? と疑問が出ます。

 

現行のワクチンの問題点

現行のワクチンの問題はその持続性が短いことと共に、デルタ株に対して効果が低下していることです。ワクチンを設計した時点より、コロナウイルスがマイナーチェンジをしたために、ワクチンがターゲットの車(ウイルスのたとえ)を見分ける能力が落ちてしまいました。ファイザーやモデルナのRNAワクチンは人の細胞内に入りますから、抗体というウイルスに対する飛び道具がつくられることと同時に、ウイルスやウイルスが感染した細胞と肉弾戦をする細胞(この系を細胞性免疫といいます)の両方を作り出すことに長けています。

しかしながら現行のコロナワクチンでは、飛び道具の抗体はわりと簡単に弾切れを起こします。細胞性免疫は長続きすると考えられますが、車(ウイルスのたとえ)のモデルチェンジによって、肉弾戦をする細胞がターゲットを見つけづらくなっています。結果として、ワクチンの、感染と重症化を防ぐ能力が低下しています。

このまま、賽の河原のようにワクチンを何度も打ち続けるのが良い方法とは思えません。ワクチンの改良が必要と考えられます。

 

ワクチンなくても飲み薬があれば大丈夫、と今は言えない

つい最近、コロナの飲み薬が開発されて、入院や死亡を90%近く防ぐ(11月9日のブログ、ついに出る! コロナの飲み薬!! を見てください)とされているので、日本でも実用化されれば重症化はかなり防げるかもしれません。しかし、重症化を防ぐ飲み薬は、コロナの流行を阻止するものではありません(自宅療養での家庭内感染はある程度減らせるはずですが、このコロナは感染者が無症状でも伝染します。薬を飲み始める前に、既に他人にうつしているはずです)。

三度目のワクチンを打たずに、コロナの飲み薬を大規模にタイミングよく使用できた場合、第六波は起こりますが、死亡率を相当低下させることは可能と思われます。ただし、コロナの飲み薬が広く使用された時に期待どおりの効果を示し、大きな副作用もないということは、現時点では保証されていません(副作用もですが、飲み薬の投与の対象制限や使用のタイミング、もともと重病の人に有効か?等の不確かな因子がいくつもあります)。

飲み薬で重症化が防がれるなら、コロナが流行しても風邪のようなものだからいいんじゃない? という意見も出るでしょう。この考えが通用するかどうかは、コロナの飲み薬が広く実用化された後でしかわからないでしょう。

ワクチンの効果が切れてしまった状態で、飲み薬だけに頼ると、意外に死亡者が出てしまうという可能性もありえます。飲み薬に期待はありますが、思うようには運ばないことも十分あり得ます。過度な期待は、しばしば痛いしっぺ返しを食うことになります。

 

ワクチン接種後の抗体量は参考になるでしょう。

もし、延々と現行のワクチンを打ち続ける場合、ワクチン接種でできた抗体の量を知りたいところです。感染を防ぐには飛び道具の抗体だけではなく、肉弾戦をする細胞も重要です。血液中の抗体の量のみでは、感染を防げるか否かを決定することは簡単ではないと思われますが、抗体の量が感染の防御に直接関係しているのは間違いないことです。

そのうち、感染を防ぐ抗体の量(特に2回目接種の6カ月後)の目安が、どこかで発表されるのではと期待しています。

個人的には、血液中の抗体量を見ながら、次のワクチンを打つ時期を決めるのがより確実で効果的と思います。しかし第六波を抑え込むための、十分な検討をする時間的な余裕はありません

 

次回は、どうか次世代コロナワクチンをつくって! ワクチンの改良をお願いします、 のブログ予定です。